不動産の投資分析

    • IRR法(Internal Rate of Return、内部収益率法)
  •  別記設例では、投資マンションの現在価値は、割引率5%で2,000万円となり、投資額の現在価値1,700万円の場合、NPV(正味現在価値)は300万円となりました
  •  
  •  では、投資額の現在価値が1,700万円の場合、割引率が何%のときに、NPV(正味現在価値)=0円となるのでしょうか?
  •  投資期間中の収益の現在価値の合計と投資額の現在価値の合計とが等しくなるような割引率を「内部収益率(IRR)」といい、内部収益率によって投資採算を判定する方法をIRR法といいいます。
  •  
    • (ExcelのIRR関数)

      書式 : =IRR(範囲,[推定値])
      •   「範囲」  初期投資額及び年毎のキャッシュフローを登録してあるセルの範囲
      •   「推定値」 計算結果の予想値(入力不要)
    •  
    • =IRR(▲1,700万円+100万円+100万円+100万円+100万円+2,100万円]) →IRR(内部収益率)=8.84%
      •   現在価値の計算
        現在 (初期投資額) ▲17,000千円
        1年目 1,000,000/(1+0.0884) 918千円
        2年目 1,000,000/(1+0.0884)2 844千円
        3年目 1,000,000/(1+0.0884)3 775千円
        4年目 1,000,000/(1+0.0884)4 712千円
        5年目 21,000,000/(1+0.0884)5 13,751千円
        0千円
    •  この設例の場合、割引率が8.84%のときに、NPV=0円となります。投資をするときに期待するリターンが8.84%を下回っているなら、魅力的な投資となります。
    •  内部収益率が、投資対象不動産に対する投資家の期待収益率を上回るほど有利な投資と言えます。
  •  

不動産の投資分析手法

    • NPV法(Net Present Value、正味現在価値法)
  •  
  •  別記設例の投資マンションのDCF法での現在価値は2,000万円となります。
  • 仮に、1,700万円で投資した場合の利益の現在価値は300万円となります。つまり、DCF法により求めた現在価値よりも、投資額が安くなければ魅力的な投資とは言えません。
  •  
  •  投資対象物件の現在価値から投資額を差し引いた利益のことをNPV(正味現在価値)といいます。
    • NPV法とは、投資額とその投資によってもたらされる収益を割り戻して、それぞれの現在価値の合計を求め、収益の現在価値合計から投資額の現在価値合計を差し引いて正味現在価値を計算する方法です。
    •  
    •  正味現在価値が大きいほど、有利な投資と言えます。

不動産の投資分析手法

DCF法(Discounted Cash Flow(ディスカウントキャッシュフロー)法)
    •  投資判断をする場合、現在価値で比較・評価する方法が一般的です。
      • DCF法は、保有期間中に得られる純収益と期間満了後の売却によって得られると予想される価格を現在価値に割り戻し、合計することにより収益価格を求める方法です。
      •  
      • (設例)

        次の投資マンションの評価を、DCF法を用いて行う。

        • 投資マンションの家賃収入:100万円/年
        • 投資期間 :5年間
        • 利子率(割引率) :5%
        • 投資マンションの5年後の売却予定価格:2,000万円
         将来得られるキャッシュ・フローを単純に合計すると、5年後の売却予定価格が2,000万円、1年当たり100万円の家賃収入が5年間あるので、2,500万円となります。
        •  
        •  一方、DCF法で「現在価値」を計算してみると。
          •   現在価値の計算

             

            •  1年後の100万円の家賃収入を利子率で割り戻した現在価値は、95.2万円、2年後は90.7万円です。
            • 5年後はマンションを2,000万円で売却できるので、その現在価値は、1,567万円となります。 
            • 「家賃収入の現在価値」と「売却額の現在価値」を合わせると、2,000万円と計算されます。

             

            1年目 1,000,000/(1+0.05) 952千円
            2年目 1,000,000/(1+0.05)2 907千円
            3年目 1,000,000/(1+0.05)3 864千円
            4年目 1,000,000/(1+0.05)4 823千円
            5年目 21,000,000/(1+0.05)5 16,454千円
            20,000千円

          これが、将来のキャッシュ・フローと金銭の時間的価値を加味したDCF法での本物件の評価額となります。

    •  

不動産の投資分析

 

不動産の投資分析手法
    •  不動産を「居住対象」ではなく、「投資対象」として見た場合、何を期待して投資を行うのでしょうか。
    •  
    •  1つは、土地や建物の「値上がり益(キャピタルゲイン)」であり、そしてもう1つは、その物件を保有中に生み出すことができる「将来の収益」(インカムゲイン)ということになります。
      •  「将来の収益」とは、アパートやマンションの賃貸をしているオーナーの目線だと、定期的な家賃収入であるキャッシュ・フローであり、投資判断をする場合、その物件が将来生み出すキャッシュ・フローに注目し採算がとれるかどうかも含め投資分析する必要があります。
      •  
  • キャッシュフロー
  •  
    •  一定期間に流入するお金をキャッシュ・イン・フロー、流出するお金をキャッシュ・アウト・フローといい、両者を総称して「キャッシュフロー」といいます。
       黒字経営であっても、キャッシュ・フローが滞ると借入金等の返済ができず、倒産してしまうこともあります。
       投資対象のキャッシュ・フローに注目することは大切な視点の1つです。
    •  
    • もう1つ考慮すべきことは「金銭の時間的価値」です。
    •  
      •  「今日の100万円」と「3年後の100万円」の価値を比較してみると、仮に、市場の利子率を5%としたとき、銀行に預け入れると、「今日の100万円」は、「3年後は約116万円」になり、「今日の100万円と3年後の116万円は同じ価値」ということになります。
         3年後の116万円を「将来価値」といいます。金額と価値は時間を隔てると異なるのです。
      •  
      •  「3年後の100万円」は、今の価値に直すといくらになるのでしょうか。利子率5%で割り引いて計算する(割引率=5%)と、現在の価値は、約86万円になります。これを「(割引)現在価値」といいます。
      •  
ページトップへ戻る