(事例検討)居住用財産を譲渡した時の課税軽減特例等適用の可否(2017/01)

太郎さん(55歳)は、現在(平成29年3月現在)、妻の花子さん(55歳)と夫婦で居住している自宅(以下「甲建物」)およびその敷地(以下「乙土地」)の譲渡を検討しています。

太郎さんと花子さん夫妻の、甲建物および乙土地(居住用財産)の譲渡に係る税金について、

具体的な事例によって「居住用財産を譲渡したときの課税軽減特例等適用の可否」について検討してみましょう。

各事例は設定事項を前提とし、問われている論点以外は、すべて手続き、要件および法令に適合しているものとします。

■ 太郎さんの所有する甲建物および乙土地を譲渡、または乙土地のみを譲渡した場合における譲渡所得の、

居住用財産の3,000万円特別控除」(以下「3,000万円特別控除」)適用について。

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Q:太郎さんが、平成6年5月の甲建物の新築において、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた場合、本件譲渡について「3,000万円特別控除」の適用が受けられますか?

A:「3,000万円特別控除」の適用を受けることができます。

●譲渡した居住用不動産について(過去に)住宅借入金等特別控除を受けていたとしても、所定の要件を満たせば「特別控除」の適用を受けることができます。

●取得した居住用の家屋に住み始めた年とその年の前後2年(前々年、前年、翌年、翌々年)に「特別控除」を使っていると、住宅ローン控除を受けることができません。

もし住宅ローン控除を受けている家屋について入居した翌年または翌々年にこの3,000万円控除の特例を受ける場合には、既に受けた住宅ローン控除分の所得税を納付する必要があります。

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Q:太郎さんの合計所得金額が20,000千円を超える場合、「3,000万円特別控除」の適用が受けられますか?

A:「3,000万円特別控除」の適用を受けることができます。「3,000万円特別控除」に所得要件はありません。

(参考までに)

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例」の場合は、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下、住宅借入金等特別控除の場合は控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下、という所得要件があります。

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Q:甲建物を平成28年8月に取り壊し、乙土地について平成29年10月に譲渡契約を締結し、平成30年1月に引き渡した場合には、「3,000万円特別控除」の適用が受けられますか?

A:適用を受けることはできません。
家屋を取り壊してから譲渡する場合でも、その敷地の譲渡契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結されるなど、一定の要件を満たすことで「3,000万円特別控除」の適用を受けられます。しかし本設例では、乙土地の譲渡契約は甲建物の取り壊しの日から1年を超えているため、適用を受けることはできません。

家屋を取り壊した場合(敷地だけの譲渡)は、次のすべてを満たさなければなりません。

●その敷地の譲渡契約を、家屋を取り壊した日から1年以内に締結している。

●住まなくなった日から3年目の年の12月31日までの間に譲渡する。

●家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日までの間、その敷地を貸付けその他の用に供していない。

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Q:甲建物を平成28年8月に取り壊し、乙土地について平成28年9月から平成29年3月まで近隣のFB社に貸し付け、平成29年4月に譲渡契約を締結し、平成29年5月に引き渡した場合には、「3,000万円特別控除」の適用が受けられますか?

 

A:適用を受けることはできません。

前設例の説明の通り建物を取り壊してから譲渡契約を締結した日までの間、その敷地を貸付けその他の用に供している場合、「3,000万円特別控除」の適用を受けることはできません

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Q:「3,000万円特別控除」_の適用を受けてもなお譲渡益がある場合、その譲渡益に対して、「所有期間10年超の軽減税率の特例」の適用が受けられますか?

 

A:「所有期間10年超の軽減税率の特例」の適用を受ける事ができます。

3,000万円特別控除」と、「所有期間10年超の軽減税率の特例」は、要件を満たしていれば併用できます。

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■ 太郎さんが甲建物および乙土地を譲渡し、買換資産を取得して直ちに居住の用に供した場合における「特定の居住用財産の買換え特例」適用について。

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■太郎さんが、甲建物を譲渡の相手方の要望により、平成28年9月に取り壊し、直ちに乙土地のみを譲渡した場合における譲渡所得等

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新築住宅用土地の「不動産取得税軽減措置」共同住宅の場合(2016年8月)

新築住宅用土地の不動産取得税軽減措置( 地法 73 の24 、地法附則10 の2 等、以下「軽減措置」))の

適用関係を巡って争われた事件で、東京高裁は下記の見解を示しました。3420 号 2016 年08 月08 日

軽減措置のうち、共同住宅の新築について、軽減措置は、原則、土地取得後3 年以内に住宅が新築された場合に適用できるが、

100 戸以上の共同住宅」の新築でやむを得ない場合には4 年まで認められる。

 

【争点】

共同住宅の「100 戸以上」の解釈について争われた。

”1 棟の共同住宅等について100 戸以上存在することを定めていると解するのが相当” なのか?

”複数棟の合計が100 戸以上の場合も対象とすべき”なのか?

 

高裁判決は、…”複数棟の合計が100 戸以上の場合も対象とすべき。”

軽減措置は、通常1 棟の共同住宅等が建築される場合を想定しているが、2 棟以上の共同住宅等が建築される場合に適用を排除するのではなく、むしろ、こうした場合にも同様に適用されるべきもの。

したがって同措置は、複数棟の共同住宅等の合計で100 戸以上ある場合にも適用されると解するのが相当。

 

「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」

不動産を売却したことによって生じた所得を譲渡所得といいます。

譲渡所得には、所得税が課税されます。

  • 譲渡所得 = 譲渡収入金額 - (取得費+譲渡費用)

 

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例(租税特別措置法35条、以下「3,000万円の特別控除」)があります。

この特例を適用すれば、マイホームを売却した譲渡所得が3、000万円以内であれば税金がかかることはありません。

譲渡所得が3、000万円を超える場合には、譲渡所得から3、000万円を控除した残額に対し、所有期間に応じた税率(14.21%~39.63%)をかけた金額が税金(所得税・住民税)となります。

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「3,000万円の特別控除」を適用するためには一定の要件があります。

なお、譲渡時に居住していなくても、次のような場合は適用できます。

  1. 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合。 (住まなくなった後、売却するまでの間建物を賃貸しても問題ありません) 。
  2. その土地の譲渡に関する契約が、その家屋の取壊しから1年以内に締結され、かつ、その家屋を居住の用に供さなくなった日以降3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合。 (その家屋を取り壊した後譲渡に関する契約を締結した日まで、貸付けその他の用に供していないこと)
  3. 災害等により滅失した家屋の敷地で、その居住の用に供さなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合。

《《 具体例 》》

  • 空き家は、引越後3年以内に売却すれば、「3,000万円の特別控除」を適用できます。

(上記 1.  の例 … 建物を解体しない場合)

  • 平成29年4月に引っ越した場合、平成32年12月31日までに売却しなければなりません。

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  • 売却日は原則として「引渡し日」、ただし例外的に「売買契約日」とすることもできる。

 

  • 建物を解体した場合は、(A)解体日から1年以内に土地の譲渡契約を締結し、かつ(B)住まなくなった日から3年目の年末までに売却しなければなりません(AとBの両方の要件を満たす必要があります)。

(上記 2.  の例…建物を解体した場合)

  • 平成29年4月に引っ越し、平成30年6月1日に建物を解体した場合、 平成31年5月31日までに(解体後1年以内に)、土地の譲渡契約を締結(売却)しなければなりません。

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いつか直面する「土地・建物の相続」 (2016年/8月)

悲しい事ですが、いつか誰でも直面する相続問題

ところで、相続人が相続する財産の中身ですが、いったい何が一番多いのでしょうか?
実は、土地の価格が比較的低位安定している現在でも、土地の占める割合が一番大きいのです。

国税庁の調査によれば、平成26年の相続財産の約4割以上が土地である。

 

 

 

 

 

 

 

 

相続が始まって分かること。

→ 相続財産の半分近くが、

  分けにくく、
  お金にかえにくく、
  みんなで共有しにくい    土地である。

いつか誰でも直面する ”相続問題” 、特にやっかいな「土地・建物の相続」
一体、何を心がけておけばよいのでしょうか?

 

「相続開始から相続税申告」までの手続きの流れは、下図のようになります。

これだけ多くの手続き(相続財産と相続人を特定し、相続割合を決め、相続税の申告と納税)や、難しい調整、資金繰りを、10ヵ月以内に終わらせなければなりません。

何も対策しないまま相続を迎えると、親が苦労して取得した不動産が「お荷物」になることさえあり得るのです。

いつか直面する「土地・建物の相続」。普段から「信頼できる相談先」を確保しておきましょう。

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住宅の三世代同居改修工事等に係る特例」の創設(平成28年度税制改正)

【平成28年度税制改正…「住宅の三世代同居改修工事等に係る特例の創設」】

世代間の助け合いによる子育て支援の観点から導入された、リフォームの税制優遇制度です。

  • 個人が、所有する住宅を、”三世代同居を目的としたリフォーム(以下「対象リフォーム工事」)”をしたとき、一定額を所得税から特別控除できる制度です。
  • ローンを利用した場合と、自己資金による場合で控除額等が異なります。

 

適用要件(概要)

 

特別控除額

適用期間

平成28年4月1日から平成31年6月30日までの間の居住分

 

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度

「相続時精算課税制度」は、贈与をした年の1月1日に60歳以上の親から20歳以上の子供(子がなくなっている場合は20歳以上の孫)への生前贈与であれば、利用できる制度です。

  • 贈与時には、軽減された贈与税を支払い、その後相続時にその贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を精算します。
  • この制度は、消費を促すため、生前における親から子への贈与による資産の移転をスムーズにして、資産の有効活用を図ることを目的につくられました。

 

  • 「住宅取得等資金精算課税特例」を利用して相続時精算課現制度を選択した場合は、その後の贈与についても(贈与者が60才以下でも)すべて相続時精算課税制度が適用されます。

 

 

相続時精算課税制度の概要

住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

  • 両親、祖父母など(直系尊属)から住宅取得資金として贈与を受けた場合に、一定の金額が非課税となる制度です。

  • この制度は、単独で使うことも、「相続時精算課税制度」と組み合わせて使うことも可能です。
  • 「相続時精算課税制度」と組み合わせて使った場合、最高3,500万円まで贈与税が非課税となります。

相続財産を譲渡した場合の取得費 (2016年4月)

相続や贈与によって取得した土地・建物を譲渡したときの、取得費と取得の時期

相続や贈与で財産を取得したときは、被相続人や贈与した人の取得の時期、価格が取得した人に引き継がれます。

従って、被相続人や贈与した人が取得した時から、譲渡した年の1月1日までの所有期間で、「長期譲渡所得」か、「短期譲渡所得」かを判定することになります。

相続財産を譲渡した場合の、相続税額の取得費加算の特例とは、C-won20

相続または遺贈により財産の取得をした者が、納付すべき相続税額があるとき、相続税の申告期限より3年以内に、その相続税課税対象資産を譲渡した場合、譲渡所得における取得費に、相続税額の一定割合を加算できる特例です。

「相続税額の取得費加算」を適用して取得費に加算する相続税額の計算式

  • 土地等については取得の時期(土地等の譲渡日ではなく、相続等により取得した日)により加算する金額の計算式が異なります(平成26年度税制改正)。
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  • 平成26年12月31日以前の相続等により取得した土地等

    譲渡した者の相続税額のうち、相続した土地等価額の合計額に対応する金額を譲渡所得の金額の計算|こ取得費に加算できる。

  • --------------------------------------------------------------------------------
  • 平成27年1月1日以後の相続等により取得した土地等

    その譲渡した上地等の価額に対応する金額のみを加算する。

    • --------------------------------------------------------------------------------
    • そのため、譲渡した土地とは別に土地等を相続している場合、この改正により取得費に加算できる金額が小さくなります。
    • 取得費に加算する金額を計算する場合の「土地等の価額」は、相続税の課税価格の計算の基礎に算入された価額です。

    小規模宅地等の特例が適用された宅地等については、適用後の減額された価額により計算する。

相続した居住用宅地等を売却する場合の税務上の留意点 (2016年4月)

一人暮らしの方が亡くなって空き家となった住宅を相続した場合、相続後に誰も住まなければ売却を検討することも多いでしょう。

そのとき、相続税課税の問題があるときは、居住用宅地等を売却する場合の小規模宅地等の特例の適用を受けようとするでしょう。

「居住用宅地等を売却する場合の小規模宅地等の特例の適用を受けようとするで場合、
その適用要件の一つに、” その宅地等を相続税の申告期限まで有していること ”があるため、相続税の申告期限経過後にその宅地等を売却する必要があります。

C-won20

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