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不動産の投資分析手法

DCF法(Discounted Cash Flow(ディスカウントキャッシュフロー)法)
    •  投資判断をする場合、現在価値で比較・評価する方法が一般的です。
      • DCF法は、保有期間中に得られる純収益と期間満了後の売却によって得られると予想される価格を現在価値に割り戻し、合計することにより収益価格を求める方法です。
      •  
      • (設例)

        次の投資マンションの評価を、DCF法を用いて行う。

        • 投資マンションの家賃収入:100万円/年
        • 投資期間 :5年間
        • 利子率(割引率) :5%
        • 投資マンションの5年後の売却予定価格:2,000万円
         将来得られるキャッシュ・フローを単純に合計すると、5年後の売却予定価格が2,000万円、1年当たり100万円の家賃収入が5年間あるので、2,500万円となります。
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        •  一方、DCF法で「現在価値」を計算してみると。
          •   現在価値の計算

             

            •  1年後の100万円の家賃収入を利子率で割り戻した現在価値は、95.2万円、2年後は90.7万円です。
            • 5年後はマンションを2,000万円で売却できるので、その現在価値は、1,567万円となります。 
            • 「家賃収入の現在価値」と「売却額の現在価値」を合わせると、2,000万円と計算されます。

             

            1年目 1,000,000/(1+0.05) 952千円
            2年目 1,000,000/(1+0.05)2 907千円
            3年目 1,000,000/(1+0.05)3 864千円
            4年目 1,000,000/(1+0.05)4 823千円
            5年目 21,000,000/(1+0.05)5 16,454千円
            20,000千円

          これが、将来のキャッシュ・フローと金銭の時間的価値を加味したDCF法での本物件の評価額となります。

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不動産の取得時・保有時の税金(その3)(2021/4/1)

固定資産税

  • 所有する固定資産に対して課されるのが、固定資産税です。
  • 固定資産とは、土地や家屋のほか、法人税や所得税で減価償却の対象となる資産をいいます。借地権や建築中の建物には課税されません。
    納税義務者は、原則、1月1日の固定資産課税台帳に所有者として登録されている者となります。
    税額の計算は次表のとおりです。原則は「固定資産税評価額」に「標準税率1.4%」を乗じて行います。ただし、税率は各市町村が条例で定めることになります。

      • 土地に関しては、住宅用地の課税標準の特例があります。
        • 200㎡以下の小規模住宅用地の部分については、固定資産税評価額の6分の1、200㎡を超える一般住宅用地の部分については3分の1が課税標準となります。
          軽減税率や税額控除はありません。
      • 新築住宅には、税額軽減の特例があります。
        • 令和4年3月31日までに、一定の要件を満たす住宅を新築した場合、一定の期間(3年間)だけその家屋に係る固定資産税について120㎡までの部分の税額が2分の1に減額さます。
        • 要件には、家屋の床面積の2分の1以上が居住の用に供されていること、床面積が50~280㎡であることなどがあります。
        • 軽減される期間は、耐火構造または準耐火構造の地上3階以上の中高層住宅の場合は5年度分、それ以外の場合は3年度分となります。
  • 都市計画税
    • 市街化区域内に所在する土地および家屋について、原則、その所有者に対して課されるのが都市計画税です。
    • 都市計画税は、市町村が都市計画事業または土地区画整理事業の費用に充てるために設けられている目的税です。
    • 税額の計算は次表のとおりです。原則は「固定資産税評価額」に「制限税率0.3%」を乗じて行います。制限税率のため、各市町村は0.3%を超えて定めることはできません。

土地に関して、住宅用地の課税標準の特例があります。

  • 200㎡以下の小規模住宅用地の部分については固定資産税評価額の3分の1、200㎡を超える一般住宅用地の部分についてはその3分の2が課税標準となります。

 

不動産の取得時・保有時の税金(その2)(2021/4/1)

不動産取得税

  • 「不動産取得税」は、不動産を取得したとき、また新築や増改築をしたときに、都道府県が課税する地方税です。課税対象は、売買や贈与などで取得した不動産であり、相続により取得した不動産は非課税となります。
  • 税額の計算は、課税標準である「固定資産税評価額」に「税率4%」を乗じて算出します。土地、建物それぞれに軽減制度があり、要件を満たした場合に適用されます

 

  • 土地に関する軽減制度
    • 課税標準 (新築・中古住宅の敷地)
      • 課税標準である固定資産税評価額は、令和6年3月31日までの取得については、その2分の1の額となります。
    • 税率 (新築・中古住宅の敷地)
      • 税率については、本則は4%ですが、令和6年3月31日までの取得については3%となります。
    • 不動産取得税(新築・中古住宅の敷地) = (課税標準(固定資産税評価額) × 1/2 × 3%) - 控除額(下記①か②の多い金額を控除)
      • ① = 45,000円
      • ② =(土地㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2) × (課税床面積 × 2(200㎡限度)) × 3%

      (軽減の要件)

      • 「建物の軽減の要件」を満たすこと
      • (新築の場合) 取得から3年以内(令和3年3月31日までの特例)に建物を新築すること
        (中古住宅の場合) 取得から1年以内にその土地上の建物を取得すること
      • (建物先行取得の場合)土地を借りるなどして住宅を新築、取得した人が、1年以内にその土地を取得すること
  • 住宅に関する軽減制度
    • 課税標準
      • 新築住宅の場合、課税標準となるべき評価額から1,200万円を控除できます。
        新築の認定長期優良住宅の場合には、1,200万円に代えて、1,300万円を課税標準から控除できます。
      • 既存住宅の場合は、建てられた時期(昭和29年7月1日以降)により100万円~最大1,200万円まで控除できます。
      • いずれの場合も床面積が1戸当たり50㎡以上240㎡以下といった一定の要件を満たす必要があります。
    • 税率については、土地の場合と同様に令和6年3月31日までの取得については3%となります。

 

不動産の取得時・保有時の税金(その1)(2021/4/1)

登録免許税

  • 不動産を取得し、その登記を受ける際にかかるのが登録免許税です。
    不動産に関する登記には、最初に登録する「所有権保存登記」、売買等で所有権を移転する「所有権移転登記」、融資をした金融機関の抵当権を設定する「抵当権設定登記」などがあります。
    相続により取得した不動産の所有権移転登記をする場合も課税されます。
  • 登録免許税の税率と軽減措置

「住宅ローン減税」の適用期間、10年から13年に延長(参考例付)2020/09/26

「住宅ローン減税」の適用期間延長

2019年10月の消費税率引き上げ後の住宅取得支援策として、消費税率10%が適用される住宅を取得し2021年12月までに居住を開始した人の住宅ローン減税の適用期間が10年から13年に延長されました。

住宅ローン減税(税額控除)の期間は2009年以降の居住開始年からは10年間ですが、
住宅ローン減税の適用要件及び対象者の要件を満たし、消費税率10%が適用される住宅を取得して2019年10月1日から2021年12月31日までに居住を開始した場合は、控除期間が3年間延長されて13年間になります


この例では、3年間の控除期間延長措置の対象となる場合(控除期間13年間)の税額控除限度額は、ならない場合(10年間)に比べ38.15万円増えることが分かります。
3年間の延長措置が対象になる人は、最大で消費増税分(2%)と同額までの税額控除を受けられることになります。

相続した不動産(空き家)を売却したときの特例(2019年8月19日)

  • 平成28年4月1日から令和5年12月31日までの間に一定の要件を満たした売却に適用されます。
  • 適用要件を満たした空き家を相続した相続人が、必要な耐震改修などを施して売却するなど一定の場合、「居住用財産の譲渡所得の3、000万円特別控除」を適用できます(所得税・住民税)。
  • この特例の適用を受けるには、先ず次の3つの要件を満たす必要があります。
    ① 昭和56年5月31日以前に建築されたものであること(旧耐震基準の建物であること)。
    ② 相続の開始の直前に、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
    ③ 家屋が区分所有建築物でないこと。

 

主な適用要件一覧表

 

(事例検討)居住用財産を譲渡した時の課税軽減特例等適用の可否(2017/01)

太郎さん(55歳)は、現在(平成29年3月現在)、妻の花子さん(55歳)と夫婦で居住している自宅(以下「甲建物」)およびその敷地(以下「乙土地」)の譲渡を検討しています。

太郎さんと花子さん夫妻の、甲建物および乙土地(居住用財産)の譲渡に係る税金について、

具体的な事例によって「居住用財産を譲渡したときの課税軽減特例等適用の可否」について検討してみましょう。

各事例は設定事項を前提とし、問われている論点以外は、すべて手続き、要件および法令に適合しているものとします。

■ 太郎さんの所有する甲建物および乙土地を譲渡、または乙土地のみを譲渡した場合における譲渡所得の、

居住用財産の3,000万円特別控除」(以下「3,000万円特別控除」)適用について。

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Q:太郎さんが、平成6年5月の甲建物の新築において、住宅借入金等特別控除の適用を受けていた場合、本件譲渡について「3,000万円特別控除」の適用が受けられますか?

A:「3,000万円特別控除」の適用を受けることができます。

●譲渡した居住用不動産について(過去に)住宅借入金等特別控除を受けていたとしても、所定の要件を満たせば「特別控除」の適用を受けることができます。

●取得した居住用の家屋に住み始めた年とその年の前後2年(前々年、前年、翌年、翌々年)に「特別控除」を使っていると、住宅ローン控除を受けることができません。

もし住宅ローン控除を受けている家屋について入居した翌年または翌々年にこの3,000万円控除の特例を受ける場合には、既に受けた住宅ローン控除分の所得税を納付する必要があります。

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Q:太郎さんの合計所得金額が20,000千円を超える場合、「3,000万円特別控除」の適用が受けられますか?

A:「3,000万円特別控除」の適用を受けることができます。「3,000万円特別控除」に所得要件はありません。

(参考までに)

「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例」の場合は、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下、住宅借入金等特別控除の場合は控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下、という所得要件があります。

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Q:甲建物を平成28年8月に取り壊し、乙土地について平成29年10月に譲渡契約を締結し、平成30年1月に引き渡した場合には、「3,000万円特別控除」の適用が受けられますか?

A:適用を受けることはできません。
家屋を取り壊してから譲渡する場合でも、その敷地の譲渡契約が家屋を取り壊した日から1年以内に締結されるなど、一定の要件を満たすことで「3,000万円特別控除」の適用を受けられます。しかし本設例では、乙土地の譲渡契約は甲建物の取り壊しの日から1年を超えているため、適用を受けることはできません。

家屋を取り壊した場合(敷地だけの譲渡)は、次のすべてを満たさなければなりません。

●その敷地の譲渡契約を、家屋を取り壊した日から1年以内に締結している。

●住まなくなった日から3年目の年の12月31日までの間に譲渡する。

●家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日までの間、その敷地を貸付けその他の用に供していない。

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Q:甲建物を平成28年8月に取り壊し、乙土地について平成28年9月から平成29年3月まで近隣のFB社に貸し付け、平成29年4月に譲渡契約を締結し、平成29年5月に引き渡した場合には、「3,000万円特別控除」の適用が受けられますか?

 

A:適用を受けることはできません。

前設例の説明の通り建物を取り壊してから譲渡契約を締結した日までの間、その敷地を貸付けその他の用に供している場合、「3,000万円特別控除」の適用を受けることはできません

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Q:「3,000万円特別控除」_の適用を受けてもなお譲渡益がある場合、その譲渡益に対して、「所有期間10年超の軽減税率の特例」の適用が受けられますか?

 

A:「所有期間10年超の軽減税率の特例」の適用を受ける事ができます。

3,000万円特別控除」と、「所有期間10年超の軽減税率の特例」は、要件を満たしていれば併用できます。

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■ 太郎さんが甲建物および乙土地を譲渡し、買換資産を取得して直ちに居住の用に供した場合における「特定の居住用財産の買換え特例」適用について。

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■太郎さんが、甲建物を譲渡の相手方の要望により、平成28年9月に取り壊し、直ちに乙土地のみを譲渡した場合における譲渡所得等

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新築住宅用土地の「不動産取得税軽減措置」共同住宅の場合(2016年8月)

新築住宅用土地の不動産取得税軽減措置( 地法 73 の24 、地法附則10 の2 等、以下「軽減措置」))の

適用関係を巡って争われた事件で、東京高裁は下記の見解を示しました。3420 号 2016 年08 月08 日

軽減措置のうち、共同住宅の新築について、軽減措置は、原則、土地取得後3 年以内に住宅が新築された場合に適用できるが、

100 戸以上の共同住宅」の新築でやむを得ない場合には4 年まで認められる。

 

【争点】

共同住宅の「100 戸以上」の解釈について争われた。

”1 棟の共同住宅等について100 戸以上存在することを定めていると解するのが相当” なのか?

”複数棟の合計が100 戸以上の場合も対象とすべき”なのか?

 

高裁判決は、…”複数棟の合計が100 戸以上の場合も対象とすべき。”

軽減措置は、通常1 棟の共同住宅等が建築される場合を想定しているが、2 棟以上の共同住宅等が建築される場合に適用を排除するのではなく、むしろ、こうした場合にも同様に適用されるべきもの。

したがって同措置は、複数棟の共同住宅等の合計で100 戸以上ある場合にも適用されると解するのが相当。

 

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